2014/02/10

天御中主神社 清水城と「ホッシンサア」

霧島市国分清水・弟子丸(きよみず・でしまる)に鎮座する
天御中主神社(アメノミナカヌシジンジャ)は、
地元では、北辰さま(ホッシンサア)と呼ばれている。
北斗七星と北極星に由来する神社である。

この神社は、訪れた者をやさしく迎えてくれ、
ほっとさせてくれる、そんな雰囲気をもっている。

鹿児島県神社庁の由緒書きによると、(以下引用)
「六十六代一条天皇の御代、寛弘元年甲辰の創建である。清水城の南側に七ヶ所の突き出たところがあり、それが丁度北斗七星を象って見えることから北辰大明神と称され、国土の安泰と蒼生の景福を希求して崇め祀られた。鎌倉時代の初期、島津忠久公が薩隅日州の守護として下向の砌、家宰本田左衛門尉貞親が大隅国の守護代に任ぜられ清水に在城以来、清水一郷の鎮守として奉祀された。」とある。

大隅国清水城は、断崖絶壁にたつ中世の山城であった。
古代には熊襲・隼人も、ここを拠点に戦ったのではないかとも言われている。
現代では町のシンボルとなっている城山公園のちょうど北に位置する。
その城の南側の山脚に巌石の尖觜が7つ、北斗七星の形に出現したことから、
その先端の位置にあたるところに、神社がおかれ、北辰様として祀られたそうだ。
(小学校の理科の時間、北斗七星のα星とβ星を結んだ線を
α側に数倍進めた先に極星を見つけることができると学習した。)

古来、中国より、伝わった北辰信仰は、
天体の星座、北斗七星、北極星を信仰する思想であった。
天御中主命(アメノミナカヌシノミコト)は、日本神話のトップに位置づけされる神様である。
(ギリシャ神話でいうと、ゼウス神のようなものだろうか。)
宇宙の中心である不動の北極星と、天の最高神が重なり、習合されたのだろうか。

妙見信仰ともいわれ、山岳信仰の修験者や、戦勝を願う戦国武将たちにも信仰された。
土地の人からは、北辰さま(ホッシンサア)を供養すれば、長寿富貴になると信じられ、
産土神として大切にされてきた神社である。

そんな神社にはとても興味深い話がある。
毎年3月1日、奉納される田の神舞は、五穀豊穣、長寿を祈る女性だけによる神舞で、非常に珍しいということである。
そして、本社の一角に計測不能な洞穴があり、そこから流れ出す清泉を使って、祭祀の調がなされた。また、その清泉は200m先の白砂からも湧き出し、この流れの現象は「塩井川」と呼ばれたそうである。(角川日本地名大辞典より)

現在、「塩井之水」という石碑が立てられた池で、蛍の育成が試みられ、環境保全向上活動の取り組がなされている。まちづくりのお手本のようで、羨ましい限りである。

余談ではあるが、島津貴久とザビエルの初会見は、
この国分清水城であったのではないかという説もある。

『ザビエルと島津貴久のはじめての会見地
   - 国分清水城説についての一考察 - 』
霧島郷土史研究会発行



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