2014/02/21

鹿児島神宮初午祭 鈴かけ馬踊り

鹿児島神宮初午祭は、「鈴かけ馬踊り」とも呼ばれ、
南九州に春を告げる伝統行事として広く知られている。

初午祭は稲荷神社の祭礼として、全国各地で行われているが、
鉦や太鼓、三味線の音にあわせ、馬がステップを踏みながら
踊りを奉納するのは、珍しいそうだ。

人と馬の長い歴史の中から、生まれた伝統行事。
昔から、馬は人の生活に欠かせないものであり、
身近な存在であったことは想像に難くない。

推古天皇の「馬ならば、日向(ひむか)の駒・・・」という言葉にみられるように、
古代から、南九州(薩摩国も大隅国も日向国の一部であった)は、
良馬の産地として認識されていたようだ。

また、畿内隼人が隼人舞いの際に用いた隼人の盾には、
馬の髪を付けることが義務付けられていたという。
初午祭がふるさとに根ざしたのも、必然的であったのではないかと感じる。

馬が人に寄り添うように踊る姿は、微笑ましい。


2014/02/10

天御中主神社 清水城と「ホッシンサア」

霧島市国分清水・弟子丸(きよみず・でしまる)に鎮座する
天御中主神社(アメノミナカヌシジンジャ)は、
地元では、北辰さま(ホッシンサア)と呼ばれている。
北斗七星と北極星に由来する神社である。

この神社は、訪れた者をやさしく迎えてくれ、
ほっとさせてくれる、そんな雰囲気をもっている。

鹿児島県神社庁の由緒書きによると、(以下引用)
「六十六代一条天皇の御代、寛弘元年甲辰の創建である。清水城の南側に七ヶ所の突き出たところがあり、それが丁度北斗七星を象って見えることから北辰大明神と称され、国土の安泰と蒼生の景福を希求して崇め祀られた。鎌倉時代の初期、島津忠久公が薩隅日州の守護として下向の砌、家宰本田左衛門尉貞親が大隅国の守護代に任ぜられ清水に在城以来、清水一郷の鎮守として奉祀された。」とある。

大隅国清水城は、断崖絶壁にたつ中世の山城であった。
古代には熊襲・隼人も、ここを拠点に戦ったのではないかとも言われている。
現代では町のシンボルとなっている城山公園のちょうど北に位置する。
その城の南側の山脚に巌石の尖觜が7つ、北斗七星の形に出現したことから、
その先端の位置にあたるところに、神社がおかれ、北辰様として祀られたそうだ。
(小学校の理科の時間、北斗七星のα星とβ星を結んだ線を
α側に数倍進めた先に極星を見つけることができると学習した。)

古来、中国より、伝わった北辰信仰は、
天体の星座、北斗七星、北極星を信仰する思想であった。
天御中主命(アメノミナカヌシノミコト)は、日本神話のトップに位置づけされる神様である。
(ギリシャ神話でいうと、ゼウス神のようなものだろうか。)
宇宙の中心である不動の北極星と、天の最高神が重なり、習合されたのだろうか。

妙見信仰ともいわれ、山岳信仰の修験者や、戦勝を願う戦国武将たちにも信仰された。
土地の人からは、北辰さま(ホッシンサア)を供養すれば、長寿富貴になると信じられ、
産土神として大切にされてきた神社である。

そんな神社にはとても興味深い話がある。
毎年3月1日、奉納される田の神舞は、五穀豊穣、長寿を祈る女性だけによる神舞で、非常に珍しいということである。
そして、本社の一角に計測不能な洞穴があり、そこから流れ出す清泉を使って、祭祀の調がなされた。また、その清泉は200m先の白砂からも湧き出し、この流れの現象は「塩井川」と呼ばれたそうである。(角川日本地名大辞典より)

現在、「塩井之水」という石碑が立てられた池で、蛍の育成が試みられ、環境保全向上活動の取り組がなされている。まちづくりのお手本のようで、羨ましい限りである。

余談ではあるが、島津貴久とザビエルの初会見は、
この国分清水城であったのではないかという説もある。

『ザビエルと島津貴久のはじめての会見地
   - 国分清水城説についての一考察 - 』
霧島郷土史研究会発行



2014/02/07

国分の初市 春を呼ぶ風物詩

毎年2月初旬、きりしま国分の旭通りでは、
恒例の春を呼ぶ「国分の初市」が行われる。
地元では昔から、木市(きいち)と呼ばれ、親しまれている。

国分の初市は、明治時代から続いているそうだ。
春を呼ぶ風物詩として、伝統ある催し物なのだ。

商業活動の原点ともいえる市(いち)は、
時代が移り変わっても、人々の心に活気をもたらす。
歩行者天国となった旭通りは、大勢の買い物客で賑わう。

木市といえば、赤いひなぎく(雛菊)の苗が思い出される。
当時(昭和47年頃)、アグネスチャンの「ひなげしの花」が流行っていた。
♪来る、来ない、帰らない、帰る・・・と、
花びら占いで、恋人の帰りを待ちわびる乙女の恋心を歌った歌だった。

露店に並んだ赤くて丸い可愛らしい花。
当時は誰もがこの花をイメージしていた。
だから、私も喜んで買って帰った。
実を言うと、「ひなぎく」と「ひなげし」の勘違い。
勘違いではあったけれど、
小さくて丸くて可愛らしい花に大満足。
さっそく、父親の園芸用の鉢を拝借し植え替えた。
毎日、愛でて、幸せな気分になっていたことを思い出す。

それにしても、なぜ、「ひなぎく」ではなく、「ひなげし」?
「ひなぎく」の方が、花びら占いにはもってこいだと思うのだけど。。。

懐かしい初市。もう何十年も行っていないが、
ガーデニングが盛んな昨今、
春の苗木や草花を買い求める人々で、
木市はますます賑わっているとのこと。

まちに春を呼ぶ、ふるさと国分の初市。
歴史ある伝統の風物詩は、商店街の方々の努力によって、
受け継がれていることを忘れてはならない。

まだまだ寒さは厳しいが、春よ来い!福よ来い!